受賞サービス
地方創生大臣賞
-
公共交通で旅を創る
「日帰りバス旅」九州産交バス株式会社(熊本県)
既存の路線バスを有効活用した日帰り旅行サービス。豊富なプランと前日、1名から参加できる気軽さが利用者に受け、新たな需要を掘り起こす(36,000人/年、県内の利用者も半数を占める)。地域観光の活性化と収益確保により、公共性の高い路線維持という地域への貢献も果たす。
事例のPDFをダウンロード
- 前日予約、1名からの予約など気軽に空き時間を使える高い柔軟性と利便性
- 人員や追加コストを増やさず、既存業務(バス運行)に負荷をかけない工夫で、利用者の増加を実現
- 空席利用のため、仕入(ホテル、食事など)以外は全て利益となる収益モデル
事業内容
「日帰りバス旅」のホームページ
熊本を中心としたバス事業を展開
九州産業交通ホールディングスの傘下で、熊本県熊本市近郊を中心とした路線バス、高速バス、貸切バスなどの運営を行っている九州産交バス株式会社。九州新幹線全線開通を視野に入れ、路線バスを活用した「日帰りバス旅」のサービスを提供し始める。
「顧客本位のサービスを提供することにより、地域とともに繁栄し、社会の発展に貢献する」の企業理念のもと、自社路線のみならず他社路線を利用した商品もラインナップし、日帰りバス旅による熊本の観光拠点化をめざしている。
「顧客本位のサービスを提供することにより、地域とともに繁栄し、社会の発展に貢献する」の企業理念のもと、自社路線のみならず他社路線を利用した商品もラインナップし、日帰りバス旅による熊本の観光拠点化をめざしている。
サービスの背景と目的
新幹線全線開通による観光需要に路線バスで対応
2011年の九州新幹線全線開通以来、九州圏外からの交流人口が大幅に拡大した熊本県。阿蘇や天草など観光地への定期観光バスの要望があるものの、地方バス会社の経営は厳しく、新規投資は困難な状況だった。さらに客層も団体から小グループや個人へとシフト。これに対し何か策はないかと社員に意見を求めたところ、“自社にある路線を有効活用したい ”という声が上がり、そこから「路線バスを活用した日帰りバス旅」実現への取り組みが始まった。
サービスの特徴と独自性
路線バスならではの融通がきくサービスと対応
・観光地の最寄りバス停までの往復、バス停⇔施設間の送迎、施設の利用料をセットにした商品。
・毎日1名からの旅行が可能。また、コースの価格帯をシンプルに設定(半日3,000円、1日5,900円。週末も同一)。
・日本語ガイドなど国内旅行客へ特化したサービスがないので、外国の方も利用しやすい。
・通常の割引セット券(往復券+施設利用券)と異なり、実際の体験に必要な現地での滞在時間確保や、バス停⇔目的地への移動手段確保など、行程全体に責任をとる旅行業法上の旅程保証。
・初めての利用者にも分かりやすいよう、「熊本交通センター」「熊本駅前」「阿蘇くまもと空港」を発着地に設定。全ての発着地に有人店舗を置き、急な申し込みにも対応。
・毎日1名からの旅行が可能。また、コースの価格帯をシンプルに設定(半日3,000円、1日5,900円。週末も同一)。
・日本語ガイドなど国内旅行客へ特化したサービスがないので、外国の方も利用しやすい。
・通常の割引セット券(往復券+施設利用券)と異なり、実際の体験に必要な現地での滞在時間確保や、バス停⇔目的地への移動手段確保など、行程全体に責任をとる旅行業法上の旅程保証。
・初めての利用者にも分かりやすいよう、「熊本交通センター」「熊本駅前」「阿蘇くまもと空港」を発着地に設定。全ての発着地に有人店舗を置き、急な申し込みにも対応。
サービスをつくりとどけるしくみにおける工夫
パンフレットは空港、駅、ホテル、バス内などに設置
セルフ印刷チケットで利用者の手間と従業員の負担を軽減
パンフレットの多様化
利用者のニーズに合わせパンフレットを用意。バス車内にパンフレット兼都市間バス時刻表を設置し、「この路線ではこんな体験ができる」など、コースを決める際に活用できる。
行程表とチケットの一体化で分かりやすさ重視
降車時は運転手に行程表を見せるだけ。外国人には英語と日本語の2種類を用意し、運転手には日本語版を提示する。裏面のアンケートは参画施設と共有して品質向上に役立てている。
顧客向け、施設向けの提案に迅速に対応
行きたい場所をコースに入れるなど、利用者からの要望・提案に迅速に対応。大学の観光学科との共同企画、旅行会社と連携した特別コースの設定なども進行中。
満車時の代替輸送手配
万が一満車になってしまった際は、発売事業所が責任をもって代替輸送機関の手配や参加者への連絡を行う。
日帰りバス旅専用システムの開発
観光施設が自由に受け入れ可能客数を入力できるオンラインシステムを開発。利用者はWeb上で予約できる。
得られた成果や与えた社会的影響
利用者の増加で黒字経営を継続
九州の文化や自然を体験したい個人観光客、出張での空き時間を活用したいビジネスマン、平日休みの方など、客層の幅が広がった。利用者はサービス開始以降前年比140%以上の伸び率を継続し黒字経営を達成している。
地域観光、企業の活性化と雇用の創出
九州産交バスは宿泊に関与していないため、宿泊を希望する方には各施設がサービスを展開できる。平日利用者向けの対応が必要になったため、地域の雇用も増加。また、行政が企画したプログラムで顧客から現地の交通手段を依頼された場合は九州産交バスを案内してもらうなどうまく協業している他、LCCなど他社路線の需要喚起に役立っている。
地域住民の意識改革
路線バスは地元住民の生活に欠かせない交通手段。住民たちに、「地域の祭りやイベントに協力することが、バス路線の維持につながる」という意識が芽生えた。
組織データ
-
事業者名
九州産交バス株式会社
-
本社所在地
熊本県熊本市
-
業種
路線バス/貸切バス
-
従業員数
567名
-
創立年月日
2006年4月1日
-
URL
※掲載されている情報は、2015年度応募時点のものです。
※掲載写真は本賞に関係のない使用目的での2次利用を固く禁じます