受賞サービス
優秀賞(SPRING賞)
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訪問型病児保育サービス
特定非営利活動法人フローレンス(東京都)
共済型の課金モデルや、当日予約にも100%保育者を派遣できる訪問型の病児保育サービス。育児支援が社会的課題とされる中、“37.5℃の壁”(一般的な保育所で託児可能な最高体温)に苦しむ働く母親が、安心して働ける社会環境の整備に貢献している。
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- 「訪問型」の病児保育市場を開拓。利用の都度料金を気にせず活用できる「共済型」の課金モデル、「100%」保育者を派遣できる仕組みで、親が安心して働くことのできる環境を提供
- 日本最多の2万5,000件以上の実績、10年間無事故運営に裏打ちされた信頼感
- 働く母親を支援し、女性が活躍できる社会環境の整備に寄与
事業内容
実際の病児保育の様子
1都3県、4,600世帯にサービスを提供
フローレンスは、病児保育、小規模保育、障害児保育をはじめ、育児に関するさまざまな社会的課題の解決に取り組む認定NPO法人。病児保育は、東京、千葉、埼玉、神奈川の約4,600世帯にサービスを提供。はしか以外であればすべての病状で保育可能としている。経営理念として「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」を掲げ、1つでも多くの社会問題の解決に挑んでいる。
サービスの背景と目的
働く女性をサポート、社会的課題を解決する
一般的な保育所で託児可能な最高体温である37.5℃を超えると、親は子どもを保育所に預けることができない。しかし行政が提供する病児保育サービスは事業所数も少なく、「定員がある」、「預かることができない病状がある」など、利用者のニーズを満たしているとは言い難い。フローレンスの代表理事・駒崎弘樹氏は、保育に携わっていた母親から、病児保育を受けられなかったために失業した女性の話を聞き一念発起。働く女性の支援という社会的課題への貢献を目的として、病児保育サービス事業を開始した。
サービスの特徴と独自性
医師免許を持ったママドクターが往診可能。必要な機材も揃える
日本初の訪問型病児保育サービス
訪問型とすることで、病児を抱える家庭へのきめ細かな対応が可能。当日8時までの予約に対しては100%保育者を派遣できる。また施設を持たないことで固定費の削減を実現。加えて対応エリアの拡大を可能にしている。
病児病後児保育に特化
病児病後児の保育を専門とし10年近い実績を積んだことで、十分なノウハウの蓄積があり、他にはできないサービスの提供を可能としている。
保育者(名称:こどもレスキュー隊員)は、病児保育の専門知識と経験を併せ持つ。また、必要に応じて医師(名称:ママドクター)の往診も行っている。
保育者(名称:こどもレスキュー隊員)は、病児保育の専門知識と経験を併せ持つ。また、必要に応じて医師(名称:ママドクター)の往診も行っている。
共済型の料金モデル
従量課金ではなく、月会費制の共済型モデルにすることで、運営者側が安定的な収入を得ると共に、利用者同士が互いを支え合う仕組みを整えた。
サービスをつくりとどけるしくみにおける工夫
スマホやITを活用し保育者の手配や子どもの症状の共有などを迅速に行う
保育者の学びを共有し質を高める
病児保育1回ごとの会員からの評価を保育者に直接フィードバックし、保育者のモチベーションアップにつなげている。保育者一人ひとりの気づき、ヒヤリハットを共有し、保育者全員で情報を活用する仕組みづくりにも注力。また顧客評価指標NPSを採用し、サービス改善に活用している。
ICTを活用し効率化を実現
顧客管理システム、モバイル端末、専用の情報管理システムを用いて、利用会員と保育者のマッチング、報告・フィードバック・ヒヤリハットなどの共有・学習システムをWebベースで構築し効率化を図っている。
保育者を直接雇用、質と数を確保
保育者の応募資格は実務経験1年以上か、子育て経験7年以上。正社員やパート社員として直接雇用し、質と数を確保・維持。現在約100名が在籍し、正社員61%、パート社員39%の割合。40歳代が30.6%、50歳代が38.8%と多く、全員が女性である(訪問型のため男性は敬遠される)。
得られた成果や与えた社会的影響
病児保育の発展に寄与
フローレンスの取り組みは、TVや雑誌をはじめとした多くのメディアで紹介され注目を集めることで、病児保育に対する認知度を高めている。またフローレンスのサービス利用者でもある作者が、病児保育をテーマに描いたマンガ「37.5℃の涙」が話題を集め、ドラマ化されるなど病児保育に対する関心は高まり続けている。
フローレンスが確立した病児保育のノウハウは、大阪においてNPO法人ノーベル(フローレンスで1年間研修を受けたスタッフが設立)に用いられ、フローレンスと同様のサービスが展開されるなど、病児保育サービスの拡大を実現している。
また、日本病児保育協会を設立、病児保育スペシャリストの認定を始めるなどして、病児保育者の質の維持向上、地位向上にも寄与している。
フローレンスが確立した病児保育のノウハウは、大阪においてNPO法人ノーベル(フローレンスで1年間研修を受けたスタッフが設立)に用いられ、フローレンスと同様のサービスが展開されるなど、病児保育サービスの拡大を実現している。
また、日本病児保育協会を設立、病児保育スペシャリストの認定を始めるなどして、病児保育者の質の維持向上、地位向上にも寄与している。
働く女性が活躍できる環境づくりに貢献
子どもが急に発熱・病気にかかった際に預ける場所がないことが、働く母親の就労継続を阻む大きな壁となっている。保育所が全国に約32,000あるのに対し、病児保育施設はこれまで約1,100しかなかった。フローレンスの病児保育サービスの提供は、仕事と育児の両立をめざす女性を強力にサポートし、日本の大きな社会的課題である女性の就業促進に貢献している。
女性の雇用機会を創出
フローレンスの事業自体が、多くの保育者・職員を必要とするものであり、子育てにひと段落した女性を保育者として雇用することで、女性の就業機会の増加に寄与している。
組織データ
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事業者名
特定非営利活動法人フローレンス
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本社所在地
東京都千代田区
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業種
保育
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従業員数
271名
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創立年月日
2004年4月1日
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URL
※掲載されている情報は、2015年度応募時点のものです。
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