受賞サービス
JETRO理事長賞
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日本式カイゼン教育でグローバル展開を
成功させた理美容サービスキュービーネットホールディングス株式会社(東京都)
「およそ10分のヘアカットのみ」というシンプルなビジネスモデルを、日本から海外へと展開。国による文化や制度の違いを踏まえて、組織開発や研修の改善に取り組む。海外で均一サービスを提供するため、カット理論と教育カリキュラムを確立し、現地人財を育てる。
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- 効率と品質を追求した「日本式カイゼン教育カリキュラム」で、労働集約型である理美容サービスのグローバル展開を成功させた
- 店舗はコンパクトな「QBシェル型店舗」を開発し、様々な空きスペースでの出店を可能とした
- 海外店舗は118店、海外来店客数は年間300万人超(国内含む全体では年間2,000万人)
事業内容
「カット」のみに特化したサービスを提供
1995年設立。従来の理美容サービスにあるシャンプーや髭剃りなどのお客様自身でできるサービスを省き、ヘアカットのみに特化した専門店「QB(Quick Barber)ハウス」を各地に展開、2002年からは海外にも進出。10分・1,000円という気軽さが忙しいサラリーマンを中心に評判を呼び、年間利用者は国内外全体で2,000万人を超える。現在はグローバル展開に加え、若年層をターゲットにした店舗や介護施設などへの訪問サービスなど、QBハウスで得たビジネスノウハウを新業態にも応用している。
サービスの背景と目的
引き算のビジネスモデルを世界に
アジア諸国では理美容師の国家資格制度がないことから、技術や基本知識の習得機会の提供が必要となり、スピード感を持った事業拡大が難しかった。また、日本で当たり前である最低限の接遇の教育も要し、進出当初は失敗を重ねた。
そこで2005年よりフランチャイズから直接雇用へと経営方針を変え、育成においても型だけでなく所作の意義を伝えることを重視。10年という歳月をかけ、日本の良質な技術や接遇に関する暗黙知の形式知化を成功させた。
そこで2005年よりフランチャイズから直接雇用へと経営方針を変え、育成においても型だけでなく所作の意義を伝えることを重視。10年という歳月をかけ、日本の良質な技術や接遇に関する暗黙知の形式知化を成功させた。
サービスの特徴と独自性
およそ10分で“すっきりさっぱり”を実現
“余計なもの”は徹底的に排除し、「さっぱりしたい」という本質的な欲求達成にターゲットを絞り、さっぱり感の質の追求に注力。時間価値を意識した独自のカット技術を開発し、約10分で“ すっきりさっぱり” を実現。忙しいビジネスマンの使い勝手を高め、既存サービスとの差別化を鮮明にした。
日本の「当たり前基準」を盛り込む
店舗勤務のスタッフは現地での採用。どの店舗でも均一なサービスを提供するため、独自のカット理論「ロジスカット」を開発。感覚値に頼らず、分かりやすく誰もが理解しやすい指導法を創り出した。研修では、店舗清掃など衛生面の規律についても触れ、日本の「当たり前基準」を指導。世界最高峰のサービスで、現地企業との差別化を図る。
サービスをつくりとどけるしくみにおける工夫
当事者意識を持った組織づくり
シンガポール進出時、現地パートナー企業にノウハウだけをとられてしまう事案が発生。ビジネスモデルではなく“人”を中心に考え、共通の価値観を持った組織づくりをめざす。また一般社員、マネージャー、経営層の意見交換の場を多く設定。信頼関係を構築し、不測の事態でも当事者意識を持って対応できる人財の育成を促す。定年制度は設けず、新卒社員から80歳の年輩スタッフまでが現場で活躍している。
人を育てられる人を育てる
質の高い店長・スタッフを増やすだけでなく、現地指導者の育成にも注力し、シンガポールでは教育スキル向上のための学びの場を1年間かけて提供。接客も含め、日本人以上のレベルの現地トレーナーの育成にも成功している。
新たな提案型出店
海外の都市部は、東京よりも坪単価の家賃が高い。そこで人通りの多くない通路など、ちょっとした空きスペースでも出店可能な「QBシェル型店舗」という新たな店舗形態を開発。店舗内装が不必要となり、出店費用は従来の5分の1に低減。収益を生まないと考えられていたスペースから賃料が得られることもあり、デベロッパーとwin-winの関係を構築。事業展開の加速につながった。
得られた成果や与えた社会的影響
サービスの国際化に成功
「このビジネスに国境はない、終わりはない」という信念のもと、人財教育も含め“サービスの国際化”をめざす。海外店舗は118店にのぼり、年間300万を超える来店客数を誇る。
海外からの支持も得る“おもてなし”
香港では、地下鉄利用客による駅ナカショップの投票イベントで「人気ブランド賞」を受賞。シンガポールの顧客満足度調査「ACE」では、サービス部門で2年連続第1位を獲得した。
また、日本国内でも一部の店舗で「おもてなし規格認証」を取得し、訪日外国人に向けた対応を図る。好みのヘアスタイルを選べる「ヘアオーダーアプリ」を開発し、多言語化も視野に入れて改善を進めている。
また、日本国内でも一部の店舗で「おもてなし規格認証」を取得し、訪日外国人に向けた対応を図る。好みのヘアスタイルを選べる「ヘアオーダーアプリ」を開発し、多言語化も視野に入れて改善を進めている。
「ロジスカット」を活用した研修
人財教育メソッドの逆輸入
海外の育成カリキュラムとロジスカットを取り入れた研修育成施設「ロジスカットプロフェッショナルスタイリストスクール」を国内に続々開設。カット経験が未熟な理美容師を、6カ月で一人前に育て上げる。業界全体で課題となっている若手理美容師の離職を抑制するだけでなく、国内のQBハウスの成長を支える大きな存在となっている。
海外のチャリティイベントを支援
シンガポールの小児がん患者支援イベント「Hair for Hope」では、QBスタイリストがボランティアで参加。募金者を坊主頭にカットし、切った毛髪でつくったウィッグを小児がんの子どもたちに寄贈する。2015年からは公式スポンサーも担う。
組織データ
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事業者名
キュービーネットホールディングス株式会社
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本社所在地
東京都渋谷区
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業種
理美容
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従業員数
2,052名
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創立年月日
1995年
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URL
※掲載されている情報は、2018年9月現在のものです。
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