地方創生大臣賞

人も本業も地域も伸ばす
300を超える交流型地域活動

大里綜合管理株式会社(千葉県)

全就業時間の4割を使って300種類を超える地域活動を展開する。不動産を土地という「モノ」としての側面だけで捉えるのではなく、「暮らしの場」として有機的に捉え、地域活動を通して地域の価値を高めることを目指す。「誰の仕事か決まってない。すぐに成果に結びつかない。でも大切なこと」を民間事業者の立場から取り組む。

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  • 一つひとつの地域活動「ナノビジネス」は粗利黒字を確保。社員育成の場であると同時に、住民の信頼獲得と本業の潜在顧客づくりにつなげる。企業の短期・長期の利益と、地域住民への価値提供を両立している。
  • 社屋を地域に開放し、本業と地域活動を同じ時間に、社員と住民が混然一体となって行う様子は圧巻。「お客様、地域、会社、自身の豊かさと幸せ」という個と全体の調和を目指す経営を体現している。
  • 地域課題の解決に企業が使命感を持って臨み、社員の積極的な行動で住民を巻き込み、自助・共助の輪を拡げながら地域の活力を引き出している。

300種類を超える地域活動を展開

千葉県の外房に広がる九十九里地域にある不動産会社。本業として別荘等の土地管理(草刈り、見回りなど)、不動産の賃貸・売買の仲介、木造住宅建設、リフォームを手掛ける。1975年の創業以来、黒字経営を堅持。
本業に加えて300種類を超える社会貢献的側面も持つ活動を展開。同社では、これを「地域活動」と呼ぶ。地域の役に立つことは必ず事業活動に返ってくるという考えに基づく。学童保育、駅前での朝の交通整理、駅のトイレや海岸の清掃、歩道の清掃や沿道での花植え、地域の女性が日替わりでシェフになるワンデーシェフレストラン、ピアノコンサート、農産物・工芸品販売、就労支援など、活動内容は極めて多様。1994年に地域活動を始めて27年が経過する。

学童保育から始まった地域活動

創業当時は、社員の9割が女性。女性社員共通の悩みの一つに、子どもの夏休みの過ごし方があった。そこで1994年より、自社での学童保育を開始。学童保育が端緒となり、様々な地域活動が始まる。

地域活動の端緒は住民の声や要望

地域活動の端緒は、住民の「困った」「やりたい」といった声や課題への対応である。それに対して「一緒にやりましょう。手伝いますから」と投げかけ、いろいろな活動が始まる。「地域の問題は全て自分事であり、企業には果たすべき責任がある」との理念を持つ。また、地域活動は「幸せをつくりだすサービス」であるとも考えている。

本社建屋を全面開放

約200坪の本社建屋のほぼ全体を地域活動の場として開放。フリーアドレス化し、自由な利用を可能としている。幼児が床をはいはいできるように、清掃も徹底。
本社建屋には、1日平均約100人、年間3万6,000人の出入りがある。そのうち本業である不動産業に関わる顧客は6,000人ほどである。本社建屋は、地域のコミュニティセンター的存在となっている。

社員一人一人の発意による「ナノビジネス」を展開

地域活動の中のタイプの一つとして、「できること、やりたいこと、地域に役立つこと」を条件とするものがある。同社では、これを「ナノビジネス」と呼ぶ。30の活動がある。個々に銀行通帳を作成し、収支を管理。年間5万円の粗利が目標。参加費(500円/人~)を頂くなど持ち出しをしない仕組みとし、費用面での持続性を確保する。いずれも粗利で黒字を維持している。

本業6割、地域活動4割

数多くの地域活動が行われる結果、社員による業務時間の4割が地域活動に投入されるに至っている。自社の規模拡大は志向していない。同社では、全国で自社と同様な企業が誕生し、本業と社会貢献とを一体化させた経営が広がっていくことを願いとしている。

災害時には緊急対応センター化

災害発生時には、本社建屋は緊急対応センタ-となる。2011年の東日本大震災、2019年秋の千葉県全域で生じた台風被害時にも活動拠点としていた。2019年秋には、600件を超える住民からのSOSに対応。災害時も頼りになる存在となっている。

社員教育、能力開発の場として機能

地域活動の運営にあたっては、事前の段取り、関係主体との調整、当日の活動指示など、社員一人一人がリーダー役を果たす必要がある。地域活動がプロジェクト・マネジメントの経験を蓄積する場として機能し、社員教育の場となっている。地域活動に参加者を呼ぶ力は営業力の蓄積、各種関係主体との調整を行う力は企画力の蓄積にもつながっており、営業・販売促進の場ともなっている。

地域とのつながりや活動機会を提示

定年を迎えた人など地域とのつながりが薄くなりがちな人に対して、新たな活動の場や機会を提示している。また、地域で新たな活動を始めたいと考える人は、本社建屋で開催される活動に参加することによって、自身がイメージする活動に出会える可能性がある。

困りごとの解決に向けた共助モデルを提示

地域活動の中には、世の中の誰かがやらなければならない事もある。「誰の仕事か決まってない。すぐに成果に結びつかない。でも大切なこと」を民間事業者の立場から地域活動として実行している。困りごとや難しいことであっても依頼すれば何とかしてくれる頼れる存在になっており、きらりと光る共助のモデルを提示している。

様々な地域活動の模様

組織データ

  • 事業者名

    大里綜合管理株式会社

  • 本社所在地

    千葉県

  • 業種

    不動産

  • 従業員数

    22名

  • 創立年月日

    1975年

  • URL

    http://www.ohsato.co.jp/

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協賛

受賞企業・団体(会社名五十音順)

  • 第4回総務大臣賞
    unerry

  • 第2回優秀賞
    オオクシ

  • 第4回地方創生大臣賞
    琴平バス

  • 第3回経済産業大臣賞
    徳武産業

  • 第3回地方創生大臣賞
    ハクブン

  • 第2回農林水産大臣賞
    ムジャキフーズ

  • 第2回経済産業大臣賞
    ヤクルト本社

幹事企業・団体

  • 公文教育研究会

  • JTB

  • 帝国ホテル

  • 野村総合研究所

  • ルネサンス

  • ロイヤル
    ホールディングス

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