受賞サービス
地方創生大臣賞
-
ITを活用した徹底的な「見える化」で
経営を再建した老舗「ゑびや大食堂」有限会社ゑびや(三重県)
伊勢神宮おはらい町で食堂を100年にわたって営む。ITを活用することで経営の「見える化」を推進。従業員が自主的に考え動くことで、地域の素材を生かした商品開発、客を待たせない対応、作業の効率化などを実現し、食堂を再建する。蓄積された経営ノウハウ等を活用し、小規模事業者の経営革新も支援している。
事例のPDFをダウンロード
- 経営再建の柱にデザインとITを据え、店舗のデザインコンセプトを明確にし、IT活用で勘に頼らない効率的、効果的な取り組みによって、収益と従業員満足度を向上。
- 「ゑびや大食堂」の再建の過程で自社開発した先端ITツールをグループ企業から外販し、中小飲食店をはじめ小規模事業者に対する店舗運営のコンサルテーションを行い、経営の活性化に寄与。
- 廉価で使い勝手の良いITシステムは、小規模事業者だけでなく、大手デベロッパーにも評価され、街中活性化のツールとしても採用されている。
事業内容
伊勢神宮の参拝客向け食堂を経営
伊勢神宮の参拝客を主な顧客とする「ゑびや大食堂」を経営。地元の食材を使った伊勢でしか食べられない料理の提供や、オリジナルの土産物販売を手掛ける。現社長が事業を継承した2014年当時は、業績が低迷し、事業縮小が検討されていた。
サービス提供の背景・経緯
労働環境の改善や経営革新を実行
事業継承後、「商売は笑売」という理念のもと、労働環境の改善を手始めとし、地元食材を使ったメニューの開発、地元名産のあわびの新たな食べ方の提案(あわび串屋台)、オリジナル工芸品の販売など、次々と経営革新を実行する。
データ分析による経営の見える化を推進
経営再建の一環としてITを活用し、データ分析による経営の見える化を推進。スタッフがデータを見て自主的に行動するようになるとともに、収益と従業員満足度の向上に成功する。
サービスの概要とその革新性
顧客の行動を自社開発システムで可視化
経営再建により、業績はV字回復。店頭や店内での顧客の行動を自社開発したシステムで可視化。スタッフのシフトや店頭オペレーションを最適化し、スタッフがおもてなしに注力できるようにする。また、パート・アルバイトを正社員化。給与、労働時間、休暇制度も改善する。
システムを改良・汎用化し外販
自社開発したシステムを改良し、他の飲食・小売店でも使用できるよう汎用化。従来からのPOS情報の事後分析を中心としたものではなく、経営の様々な局面で必要とされる情報に特化した機能とする。最新の画像認識技術、AI、天候予測技術、SNS情報活用技術等をクラウド上で統合する。コンサルティングも提供。個々の店舗の特性に応じたシステムの活用をアドバイスする。
サービスの成果・実績とその優越性
業績・事業領域ともに大きく成長
伊勢神宮の参拝客向けに、地元の名産でもてなす店を実現する。2019年度までの3年間に、売上は約4倍に増加。従業員1人当たりの売上も約3.5倍に増加。
自社開発システムを活用したコンサルティングは40社、50店舗に導入の実績を持つ。外販1年目より黒字化。
自社開発システムを活用したコンサルティングは40社、50店舗に導入の実績を持つ。外販1年目より黒字化。
地元名産のあわびの串焼き
顧客が気づく前にシステム不具合を解消
食堂の自社経営により得られるナレッジを速やかにシステムに実装しアップデートする仕組みを構築。システムに不具合発生時には、開発メンバー宛に自動でメッセージが届く機能も実装。顧客が気づく前に不具合を解消するため、スピード感を重視する。
サービスイノベーションとして優れている点
データを活用し、改善や新たな試みを実践
自社データ(POS情報、入店者情報、アンケート等)に加えて、店外情報(通行量、画像データ等)、食べログ等の評価情報、天気予報、政府公開データ等も活用。得られた情報を用いて、短期および長期予測、時間ごとの入店予測、店内オペレーションの改善や新たな試みを行う。
ITと人との協働
スタッフは、システムが表示するディスプレイ情報を見ながら、状況に応じた入店案内、店頭看板の変更、米を炊く量の調整等を行う。誰かの指示を待つのではなく、スタッフが自主的に動く環境が形成されている。
顧客の注文はタブレットで受け付けるが、スタッフは居住地を口頭で聞き来訪圏域分析のための基礎データを取得するなど、ITと人との協働の仕組みも展開している。
顧客の注文はタブレットで受け付けるが、スタッフは居住地を口頭で聞き来訪圏域分析のための基礎データを取得するなど、ITと人との協働の仕組みも展開している。
社会の発展への寄与
サービス産業全体で利用可能なシステム
自社開発したシステムは、サービス産業全体への幅広い普及が可能である。街の中に店舗があり、人が来て、サービスを受ける形態であれば、病院や整骨院等の施設でも導入可能。また、経営改善に加えて人の働き方の改善も意図している。
ゑびやでの三密対策(混雑状況を配信)
来客予測AIと組み合わせ、お店の空き状況を表示する
個人経営店の独自の魅力を活かした成長を支援
システムの外販価格は月額2万円ほどであり、中小企業でも利用可能な水準としている。また、個人経営の店が独自の魅力で成長していくための基盤を用意するなど、サービス産業全体のレベルアップへの貢献が期待される。来客予測AIと組み合わせ、お店の空き状況を表示する
組織データ
-
事業者名
有限会社ゑびや
-
本社所在地
三重県
-
業種
フードサービス
-
従業員数
16名
-
創立年月日
1994年
-
URL
※掲載写真は本賞に関係のない使用目的での2次利用を固く禁じます