総務大臣賞

　「デザインとマーケティングリサーチで地域、日本、世界を元気にしたい」という志のもと、市場調査会社とデザイン会社の2社が合併し誕生。パッケージデザイン、マーケティングリサーチ、パッケージデザインAIの開発・提供などを手掛ける。

2015年から自主的に行っていた大規模な消費者調査のデータが、400万人分蓄積され、圧倒的な情報を活用できないかと考えたことがきっかけ。データ数は2022年に1,000万人分を超えた。AIを一から学び、東京大学山崎研究室との共同研究によりパッケージデザインAIを完成させる。評価AIは2019年、生成AIは2021年10月からサービスを開始する。

1,000万人を超える膨大な消費者データを学習したAIが、1時間で1,000案のパッケージデザインの評価・生成を繰り返し、消費者が好む最適案を導く世界初のサービス。
デザイン開発にかかる時間とコストを大幅に削減し、大企業だけでなく、中小企業にも低価格で質の高いデザインの活用機会を提供。Webを通じた非接触サービスであるため、評価AIはコロナ禍での消費者調査の代替手段としても活用されている。

従来3カ月ほどの期間が必要とされていた、パッケージデザイン開発後半の調整過程（消費者調査と改良を繰り返す）を、わずか1時間ほどで終えることができる。時間にして1,000分の1以下の驚異的な短縮となっている。

従来デザイン制作には200～500万円程度かかるが、本サービスではデザイン評価で1枚1.5万円または使い放題で月50～70万円、デザイン生成で1回30万円（1カ月以内の同じプロジェクトなら何度でも実施可能）というローコストを実現している。

評価AIは複数の利用プランがある。生成AIと組み合わせたり、企業の利用目的や予算に合わせた使い方を選択できる。中小企業がよりデザインを活用しやすくするため、デザイン生成と同時に包材提供までを行うサービスを開始予定。

このAIを採用したカルビーのポテトチップスは1.3倍、ネスレのコーヒーは2.3倍の売上を記録した。日清フーズ、マルハニチロ、ユニリーバ、森永乳業、ライオン、味の素などの大手を含む多くの企業からの評価も得ており、評価AIはすでに860社で利用されている（2022年11月時点）。

市場調査会社とデザイン会社のノウハウを結集した独自の「評価AI」が、「消費者の好み」に基づいてデザインの好意度を予測、デザインのどの部分が注目されているかを「ヒートマップ」で表示。また、19項目の「イメージワード」のスコアでデザインをランキング表示することができ、候補の絞り込みを検討しやすくしている。デザイン原案をパーツに分けて再生成する「生成AI」との組み合わせで、デザインの絞り込みと決定、デザインの修正に要する時間とコストを驚異的に削減する。候補の絞り込みにあたって、数値による客観的な判断材料を提供できる点も強みである。

デザイン生成には遺伝的アルゴリズム、評価にはディープラーニングを活用。先進技術を取り入れたチューニングで精度を高めている。また、半年ごとに市場調査を行い、調査結果のデータをAIに追加学習させており、「今」の顧客の評価に近づけながら、進化を続けている。現在のバージョンは7.0（2023年3月現在）。

デザイン開発の効率化と高度化に大きく貢献するサービスである。パッケージデザインだけでなく、Webデザインなどの評価にも応用可能。グローバル展開も予定されており、社会的イノベーションを促進する可能性を秘めている。