国土交通大臣賞

「お客様の声」の徹底した見える化による顧客満足度向上の仕組みづくり

スカイマーク株式会社(東京都)

顧客満足の向上に全社で取り組む。2017年度より5年連続で定時運航率1位を獲得。特に独自のCS推進のための搭乗後アンケートを導入後、❶アンケート結果の即時集計・分析と社内での情報共有、❷CS推進室による「CS課題の見える化」、❸「施策効果の見える化」など、現場の自発性を高める取り組みを行う。データ駆動と現場感覚を両立させている。

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  • 顧客満足度トップという目標を定めたうえで、顧客の声を集め、見える化を通じて徹底したCS活動を推進。CS推進の土台にある搭乗後アンケートでは、乗客情報と回答の対応づけ、回答率の向上の工夫などを進めるとともに、大量の搭乗後アンケート結果を現場任せにせず、CS推進室主導で迅速に分析。
  • 鮮度あるCSデータを日次と週次レベルの双方で全経営陣・全社員と共有。新設した現場部門参加の会議体にて、現場主体で施策効果を確認し、分析データと現場の肌感覚との乖離を常に検証する仕組みを構築。
  • 「見える化」による徹底したCS推進活動により、顧客中心の経営システムの革新を実現している。

徹底した顧客満足度向上の仕組みづくり

1996年設立の航空会社。「お客様への約束」の一つとして掲げる「シンプルで温かく誠実なサービスと快適な空間を身近な価格で提供します」の探求・具現化・創造のために、顧客満足に関する改善施策を試行錯誤を繰り返しながら地道に推進。2017年度より2021年度まで定時運航率5年連続1位を獲得。2020年度、2022年度にはJCSI(日本版顧客満足度指数)調査で1位を獲得。

顧客満足の向上で差別化を目指す

2017年度に定時運航率1位となった際、当時の経営トップが、❶「定時性は更なる高みを目指す=ダントツ1番」と❷「顧客満足の向上」の2つによって「運賃が安いだけのエアライン」と差別化を図ることを社内外に向けて明言したことがきっかけとしてスタート。「JCSI顧客満足度1位」を社内目標に掲げて❷に取り組み、2020年に達成。CS推進マネジメントの全社的な取り組みは、2020年7月より本格化。

お客様に喜んでいただけるよう現場が主体的に行動

全社的な取り組みに関連した現場主体のエピソードとして、コロナ流行に伴う緊急事態宣言下で乗客が減少していく中、新千歳空港のランプ担当者が「大変な時ですが乗ってくれてありがとう」と書いたメッセージボードを飛行機に向かって掲げる。感動した乗客がTwitterで発信し、一気に拡散。このように現場が「お客様に喜んでいただけるよう何かできることはないか」と試行錯誤しながら主体的に取り組んできている。

全社を挙げてのCS推進

2017年度に定時運航率1位を獲得後、「顧客満足の向上」を次の目標に掲げ、CS推進に全社で取り組み、成果を得る。具体的には、❶搭乗者の声の収集(搭乗後アンケート、現場で直に伺った内容の登録システム)、❷ CS推進室によるデータ分析、❸情報の社内共有、❹「顧客」と「課題」の見える化、❺現場部門による施策立案とその実行、❻「施策効果」の見える化、❼「目標達成度合い・競争」の見える化、❽「褒めること」の見える化の8つを行い、それぞれの仕組みづくりとその実践に取り組む。2020年度に続いて、2022年度JCSI調査において1位を獲得。2021年には経済産業省が創設した「おもてなし規格認証」において航空業界として初めて紺認証を取得した。

搭乗後アンケートの集計・分析の即時性

独自のCS推進を確立するための搭乗後アンケートを導入。搭乗者から直接評価を受ける仕組みを構築。回答率は約3%。毎日300~500件程度が集まる。うち約5割に記入されるフリーコメントも貴重な情報源になっている。回答は即日数値化・分析され、毎朝20分ほど行われている全体朝会の1/3の時間を使い、結果を全経営陣・社員に共有する。また、顧客満足の目標値となるKPIを設定し、組織間の競争促進や各組織の自主的な努力を生み出せる仕組みを構築している。

CS推進室による徹底した「CS課題の見える化」の展開

CS課題の見える化では、JCSIの詳細評価、蓄積された搭乗後アンケート結果も活用し、CS推進室が顧客満足度への影響要因を徹底的に分析したうえで、現業部門に伝達する。現場任せでの改善の優先順位づけから脱却するだけでなく、時には現場の肌感覚を裏付けて経営陣の理解を促すことにもつながっている。

現場の自信と達成感の獲得につなげる

フロントライン部門とのCSマネジメント会議の場において、各支店・部署のデータを見ながら各支店・部署が取り組んだCS向上の施策効果と今後の施策を発表することにより、現場の自信と達成感、およびCS改善の推進力につなげている。

徹底した顧客満足度評価と迅速な分析

顧客満足度トップという目標を定めたうえで、顧客の声を集め、見える化を通じた徹底したCS推進活動を行う。CS推進の土台にある搭乗後アンケートでは、搭乗客情報と回答の対応づけ、回収率の向上の工夫などを進めるとともに、大量の搭乗後アンケート結果を現場任せにせず、CS推進室主導による分析に取り組む。

CSデータの全社共有と現場感覚と融合した検証

鮮度あるCSデータを日次と週次レベルの双方で全経営陣・社員と共有することを徹底している。現場部門参加の会議体を新設し、現場主体での施策効果、および分析データと現場の肌感覚との乖離を常に検証する仕組みを構築している。

CS推進に関わる会議体の仕組み

徹底した「見える化」で顧客満足度向上

アンケートの分析結果と現場感覚を融合して立案・実施・改善に取り組んでおり、分析データと現場の「肌感覚」との乖離が生じない仕組みを構築。「見える化」を通じて徹底したCS推進活動を行うことで、顧客中心の経営システムの革新を実現している。

組織データ

  • 組織名

    スカイマーク株式会社

  • 創立年月日

    1996年

  • 業種

    航空輸送

  • 本社所在地

    東京都大田区

  • 従業員数

    2,417名

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