農林水産大臣賞

関係人口が持続可能な里山を再生する「木を伐らない林業」

株式会社中川(和歌山県)

地元の山林所有者に無償で植林事業と森林管理業務を提供し、広葉樹を植えることで山の再生と地域との関係人口を創出する。植林体験や企業スポンサーからの収入を得ながら、林業では異例の補助金依存度の低い経営を実現。革新的な働き方を導入し、女性も無理なく働ける職場環境を整え、就職希望者が殺到。同社でインターンや従業員として学んだ人材が全国へと事業展開することで、付加価値型林業が日本各地に拡大している。

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  • 地域内外の関係者との利用価値共創:地域の人口減少と林業衰退の中、新たな働き手と多様な関係人口を創出する仕組みとサービスにより、持続可能な森林管理を実現している。
  • 林業の付加価値拡大を和歌山から全国へ推進:県外からの収益を地域に還元しつつ、雇用創出、里山の景観保全、災害対策など多様な価値を創出。同モデルを和歌山発で展開し、各地の地域社会と環境に貢献している。
  • 既成概念を覆す革新的な林業モデル:創業者である中川雅也氏の独創的な発想をもとに、就業者、地元住民・企業、県外企業や観光客ら各々にメリットを提供し、革新的な林業モデルを率先して実現している。

里山再生に特化した林業会社

持続可能な里山再生を目指す林業会社。木材生産型林業とは異なり、「木を伐(き)らない林業」を掲げ、森林の多面的価値を活かした新しい事業モデルを展開している。「森を守り、地域を元気にする」を理念に掲げ、環境保全と地域経済の両立を目指した事業を手掛け、この取り組みに多様な人々に関わってもらい、山の再生と地域との関係人口を創出している。

働く時間をコントロールできる林業に着目

“対自然”の産業である林業であれば働く時間を自分でコントロールできると考え、林業での起業に至る。30年遅れているといわれる林業に分業化の考え方を持ち込む。木を植えて育てることに特化した会社を起業。

広葉樹苗木の植林を開始

建築材用の針葉樹植栽は、植栽後も手入れを継続する必要がある。針葉樹植栽に特化すれば、継続的な手入れが難しいと考え、広葉樹の植林に転換。地元で拾えるどんぐりから育苗し、広葉樹苗木の植林を始める。

地域内での好循環を創出

地元の子ども達にどんぐりの教育を行う。子どもらに「山を持っている人は地域のヒーローだからローカルヒーローを探しましょう」と伝えると、子どもらにヒーローと言われた山林所有者は嬉しくて同社に山の管理を委託する、という好循環が回り始める。
さらに、地元の障害者雇用施設や中小企業と連携して苗木作りを実施。地元の様々な情報が集まることで地元の伐採業者との連携と伐採木をロットで集めることが可能となり、製材所への良好な価格での販売を可能としている。

植林体験とスポンサー収入による収益モデル

理念に賛同する観光客や学生、研修やワーケーションの一環としての県外企業による植林体験参加者からの収入と、CSRを推進する企業スポンサーからの収入が収益の柱。2025年からは、適切な森林管理によるCO₂の吸収量をクレジットとして国が認証(J-クレジット)する制度による収入、さらにその先には、生物多様性の保全が図られている自然共生サイトの認定による収入も見込む。10年後には、「脱 補助金経営」(現状は収入の5割)も視野に置く。

林業における働き方改革を実践

副業可能はもちろんのこと、6時間のフレックスタイム制、日当制、当日欠勤が可能な自由出勤制度、全従業員の給料公開など、他にない働き方を導入。県内外から就職希望者が殺到。重量物を運べる林業用ドローンを開発することで、女性も活躍できる環境を構築している。

和歌山県の再造林率は75%に回復

2016年の創業以来、毎年、植林事業を手掛け、管理山林面積は4,300haに拡大。和歌山県の造林シェアの6割を担うに至る。結果として、和歌山県の再造林率は40%から75%にまで回復。

様々な関係者への付加価値を創出

➊30人以上雇用しない、➋純利益は10%以上としない、➌人件費率を売上の50%以上、これらの経営方針のもと、県外からの収益を地元に還元するとともに、地域内での雇用創出、里山の景観保全、災害対策、企業の環境配慮型CSR推進など、様々な関係者への付加価値を創出する。

同様の業態が全国で7社起業

同社で学んだ人材により日本各地に同様な企業体が誕生している。これまでの成果を無料でインターン参加者らに教えることで、8年間で9都県に7社が起業。これらの企業とは資本関係もなく、手数料等も得ない。全国で林業が継続・発展することを支援している。

木材生産に依存しない林業の可能性を提示

環境的観点も含めた林業の経済的価値の発掘や、分業による付加価値向上など、従来の考え方に捉われない発想の転換を進め、田舎や自然、山を見直す機会を創出している。働きやすく、やりがいのある仕事を創出することによって、林業への就業機会の創出に貢献している。
苗木圃場。上段が2年目の苗。下段は、播種した苗。発芽までは直射日光が当たらないように遮光シートを被せ、自然に近い状態を作り、光と水を管理して発根を促す
獣害防止ネットの設置研修の様子

組織データ

  • 組織名

    株式会社中川

  • 創立年月日

    2016年

  • 業種

    林業サービス

  • 本社所在地

    和歌山県 田辺市

  • 従業員数

    27名

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協賛

受賞企業・団体(会社名五十音順)

  • 第4回総務大臣賞
    unerry

  • 第2回優秀賞
    オオクシ

  • 第4回地方創生大臣賞
    琴平バス

  • 第3回経済産業大臣賞
    徳武産業

  • 第3回地方創生大臣賞
    ハクブン

  • 第2回農林水産大臣賞
    ムジャキフーズ

  • 第2回経済産業大臣賞
    ヤクルト本社

幹事企業・団体

  • 公文教育研究会

  • JTB

  • 帝国ホテル

  • 野村総合研究所

  • ルネサンス

  • ロイヤル
    ホールディングス

後援・協力

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