内閣総理大臣賞

土木建設サービス全体のデジタル業態革新
「スマートコンストラクション」

コマツ(東京都)

「安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場」実現のため、建設現場の測量、施工、検査などのプロセス全体をデジタルでつなぐ。実際の現場とデジタルの現場を同期させ、施工の最適化を実現するソリューション。デジタルデータはプラットフォームで一元管理。土木建設サービス全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す。

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  • 建設機械の販売だけでなく、3D地形データ、ドローン、ICT建機等を活用し、測量から完成検査までの全工程をサービスの対象とし、圧倒的な安全性・生産性向上を実現する。世界に類を見ない日本発のサービスを提供し、土木建設工事の業態を根本から革新しつつある。
  • 先端的建機・サービスの提供だけに留まることなく、従来型建機を廉価にICT建機化するレトロフィットキットを販売し、業界全体のDXの底上げを図り、労働力不足に対応するためのサービスを提供している。
  • 2020年よりグローバル展開も開始。日本発の建設現場のプラットフォームとしての普及が期待される。

建設プロセス全体を可視化するソリューション

「スマートコンストラクション」とは、土木建設工事の現場に必要なあらゆる情報を様々な技術でデジタル化するとともに、調査・測量に始まり完成検査に至る一連の建設プロセス全体を3次元(3D)化されたデータで統合し可視化するトータルソリューションサービスである。土木建設工事での圧倒的な業務効率化と生産性向上を実現させるサービスである。

生産性向上は建設業界全体の課題

国内建設会社の9割以上が社員10名以下であることや、技能労働者が減少していることから、建設業界での生産性向上は業界全体に共通する課題である。スマートコンストラクションは、デジタル化を基盤に建設プロセス全体を変革(デジタルトランスフォーメーション:DX)させるだけでなく、業界全体が抱える課題の解決を支援し、土木建設サービス全体の業態をも変革するソリューション(デジタル業態革新)である。

製造業のサービス化の代表例

サービス化の進展により、日本のGDPの7割以上をサービス産業が占めている。一方、その裏側で2割を切るまでになっている製造業が、今後どのように展開していくかは、日本経済の重要な課題の一つである。その有力な戦略的選択肢となっているのが「製造業のサービス化」である。コマツでは、2001年より、建設機械(建機)にGPSを取り付け、車両の位置や稼働を遠隔で確認できる機械稼働管理システム「KOMTRAX(Komatsu Machine Tracking System:コムトラックス)」を提供してきている。

ICT建機(マシンコントロール)の投入

2013年、世界に先駆け、設計値(3D設計データ)を入力するとそのデータ通りに施工(マシンコントロール)するICT建機(ICT機能を搭載した建機)を投入。しかし、ICT建機が機能するのは施工段階に限られ、施工以外の工程がボトルネックとなり工事全体の生産性はさほど向上しない状況であった。

高まる工事全体のプロセス改善の必要性

ICT建機がより力量を発揮するには、工事全体のプロセス改善に寄与する必要があると考え、新たなサービスの検討に着手。調査の結果、施工全体の進捗状況を見える化するソフトは存在しないことが判明。現場の監督者は、現場で起きていることを目で見て、耳で聞き、頭で考え、口で報告せざるをえない状況であった。

3Dデータでつなぐソリューションの投入

2015年、建設プロセス全体の生産性向上に向けて、プロセス全体を3Dデータでつなぐトータルソリューションサービスである「スマートコンストラクション」の提供を開始。その中核は、クラウドプラットフォーム「Smart Construction Cloud」。3Dデータ(下記)を活用し、Smart Construction Cloudによって建設現場をつなぐ。これにより、迅速かつ簡易に工事の進捗管理が行える。
❶現況の高精度測量(ドローンで測量し、3Dデータを作成)
❷施工完成図面の3次元化(設計図〔紙ベース〕から、3D設計データ〔CADデータ〕を作成)
❸変動要因の調査・解析(土質や地下の埋設物について、調査し解析)
❹施工計画シミュレーション(施工パターンを各種シミュレーション)
❺高度に知能化された施工(3D設計データをICT建機に入力し、そのデータ通りに施工。ICT建機は工事の進捗情報を刻々送信)
❻施工のボトルネックになりがちなダンプトラックによる土の搬出・搬入も専用システム(Tracking Management System)で見える化するとともに最適化
❼ICT建機以外の作業(ICT機能非搭載の建機や人による作業)もドローン使用と専用システム(Everyday Drone)により3Dデータ化し統合
❽日々の施工の見える化(送信されてくる3Dデータを専用アプリで一元管理。3Dデータの差分情報より、地形変化など工事の進捗を管理。スマホ等により実際の現場でも閲覧可)
❾施工後のデータ活用(維持管理や災害対応に活用)

「スマートコンストラクション」によるサービス提供の領域

「スマートコンストラクション」の俯瞰図

レトロフィットキットで既存の建機をICT化

建機全体の中でのICT建機のシェアは2%程度にとどまる。残る98%の速やかなICT化は大きな事業機会である。そこで2020年3月、既存の建機をICT化する後付け型機器「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」の販売を開始。他社製の建機であっても搭載可能。販売価格は70万円程度で、ライフサイクルの長い建機を廉価でICT化できる。搭載可能な機種は、小型機種にも順次拡大し、ミニショベルによる狭所作業や小規模工事、中小の建設会社への普及を推進する。

デジタルツインで建設プロセス全体を最適化

2020年4月、施工の各プロセスの最適化に留まらず、建設プロセス全体を最適化する進化型サービスである「デジタルフォーメーション・スマートコンストラクション(DXスマコン)」の提供を開始。実際の現場とデジタルの現場を同期(デジタルツイン)させる。より精緻なスケジュール管理、工期短縮、不要なコストの削減などの効果を見込む。DXスマコンは、先進技術への理解が進む建設事業者(イノベーター)による導入が既に始まっている。

顧客へのサポート体制も万全

三百数十名の「スマートコンストラクションコンサルタント」を養成し、全国に配置。顧客と一緒に課題を解決していく体制を構築。現場での急な設計変更や困りごとにもサポートセンターにて対応。現場で稼働する建機の操作画面をスタッフも同時に閲覧できるため、遠隔であっても効果的なアドバイスが可能。現場から報告されてくる諸課題は、週単位で共有する。

生産性を3割改善

2015年のスマートコンストラクションのサービス開始以降、国内13,000超の現場で導入済み(2021年1月末現在)。海外にも展開済み。
3Dデータを用いて施工することで、工期短縮や人員削減の効果によりプロセス全体での生産性が3割改善。顧客からは、施工精度の向上、作業進捗の見える化、工期短縮、人員不足解消、働き方改革の実現を高く評価する声が寄せられている。

レトロフィットキットの機能比較

圧倒的な業務効率化と生産性向上の実績

スマートコンストラクションの進化型であるDXスマコンは、圧倒的な業務効率化と生産性向上の実績を持つ。例えば、1km程度の高速道路の設計の場合、従来であれば2週間程度必要であったが、これを利用すると、わずか15分程度で完成する見込みである。
工事実績でみると、決壊した堤防の修復工事の場合、計画作成に従来であれば9人日が必要であったが、これを利用した結果、2時間で計画が作成され、当日中に工事実施の許可が得られ、そして翌日には工事を完了することができている。

完成検査を大幅に効率化

完成地形データを設計データと重ね合わせることで、完成検査が大幅に効率化される。これまでの膨大な枚数の写真確認や現場確認が不要となり、業務を大きく変革させるソリューションである。

顧客の裾野を大きく拡大

レトロフィットキットの販売開始により、他社製の建機であってもICT化が可能となる。メーカーの制約を超え、顧客の裾野を大きく広げるソリューションである。また、業界全体での生産性向上への大きな寄与が期待される。

土木建設業全体の根本的な業態革新を促進

製造業のサービス化において、そのインパクトのスケールの拡大に応じて4段階の発展モデルが考えられる。

【第1段階 ものづくりの高度化】

自社製品のものづくり技術を高めて、高品質な製品・サービスを販売。

【第2段階 顧客の生産性向上】

自社製品が利用されている現場に深く入り込み、徹底的なデジタル化により顧客の生産性向上、付加価値拡大に貢献。

【第3段階 顧客業界の業態革新】

汎用的なソリューションの開発により、顧客が属す産業全体に根本的な業態革新をもたらす。

【第4段階 グローバルプラットフォーム化】

ソリューションをプラットフォーム化してグローバルに展開する。
このうち第1、第2段階の製造業のサービス化は、多くの事例があるが、第3段階の顧客業界の業態革新に成功している事例は数少ない。その中で、コマツは、ドローンやクラウドプラットフォーム、デジタルツイン等の先端技術をフルに活用して土木建設工事の全プロセスを3Dデータでつなぎ、土木建設業界全体のあり方を根本的に革新するサービスモデルを確立している。ここまで徹底しているサービスイノベーションの優良事例は他には見られない。
さらに、2020年度からこのソリューションをプラットフォーム化して海外展開を始めており、第4段階のグローバルへの展開が期待される。
かつて世界一の生産性を誇った日本の製造業が、サービス化の4段階を進むことができれば、日本の製造業の発展につながると同時に、サービス産業や農業等の低迷する生産性を大幅に向上させることも期待できる。このような期待が決して夢物語でないことを実証しているのがこのサービスである。

土木建設工事全体での生産性向上を実現

先端技術を活用し、各工程内で効率化余地が見込まれる作業を徹底的に効率化するとともに、建設プロセス全体からみた最適化を実現している。これにより土木建設工事全体でみた圧倒的な生産性向上を実現している。

安全で生産性の高いスマートな現場を創出

「きつい」「汚い」「危険」の3K職場といわれている建設現場を、安全で生産性の高いスマートな現場に変革している。若年層にとっても魅力ある仕事に変え、建設業をはじめ、ものづくりなど幅広い業態での担い手不足という社会課題の解決が期待される。

スマートコンストラクションを使用した導入現場の例

河川での浚渫(しゅんせつ)工事の場合、見えない川底を、設計図面通り正確に掘削する。そして、川底の現況を3Dデータ化し、設計データと照合する。危険な作業は不要となる。

組織データ

  • 事業者名

    コマツ

  • 本社所在地

    東京都

  • 業種

    製造(建設・鉱山機械)

  • 従業員数

    68,879名

  • 創立年月日

    1921年

  • URL

    https://home.komatsu/jp/

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後援・協力

©サービス産業生産性協議会(SPRING)