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地方創生大臣賞
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2024年1月1日能登半島地震 災害でも医療を止めないレジリエンス力
社会医療法人財団董仙会(けいじゅヘルスケアシステム)(石川県)
災害時には平時以上の対応を求められる医療介護の本質的な課題と向き合い、「医療の継続」という価値実現に向け、水・電気の確保や設備の復旧等を含む災害対応を、BCM(事業継続マネジメント)およびBCP(有事の際の事業継続計画)にまとめ、平時より備えを徹底。能登半島地震発生時には、地域で唯一、医療を継続しレジリエンス力(適応・回復力)を発揮した。災害時医療介護サービスと呼ぶべき貴重な成功事例である。
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- あらゆる災害を想定した平時の備え:「いつものBCM/もしものBCP」を合言葉に、様々な災害への対応を「董仙会BCM」(レッドブック)にまとめ、独自のE-learning教材で職員教育を徹底。設備管理会社を交えた会議を毎週行い、地震発生時の施設の迅速な仮復旧やライフラインの確保につなげた。
- 発災時にレジリエンス力を発揮したサービス提供体制:災害発生時、直ちにBCPで定めた危機管理統括本部を設営し、DXの活用で情報の一元管理と指揮命令系統の一本化を図り、被災者でもある職員の働く環境を迅速に整備。寄せられた応援コメントを力に変えて手厚いサービス提供を行った。
- 国土強靭化に資するサービス:全国の医療・介護施設の災害対応モデルとして広まることが期待される。
事業者概要
能登で医療サービスを提供
石川県能登地方の地域医療支援病院である「恵寿総合病院」を中核とし、急性期から慢性期、在宅医療、介護、福祉まで幅広く医療・福祉サービスを提供する。人口減少、少子高齢化が急速に進む能登で、電子カルテや遠隔診療などICTを積極的に導入し、医療の質向上と業務効率化を進める。ICT、DX、AIの活用で最先端を行く。
サービス誕生の背景・経緯
あらゆる災害を想定し事前準備
日々の備えとしてのBCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)と有事の際の対応としてのBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)に取り組む。病院本館の「構造」と「設備」にもこだわり、ソフト/ハードの両面で災害への備えを徹底する。本館建設にあたっては、免震構造を採用。
災害時にも医療を止めない
2016年より、「災害時にも医療を止めない」という方針のもと、「董仙会BCM/BCP」(レッドブック)を毎年発行。想定される災害を地震・雪害・低温・台風・風害・高潮・パンデミック(感染症対応)と順次増やしてきている。
サービスの概要と特徴
発災時の迅速なダメージコントロール
2024年1月1日の能登半島地震時、ただちに設備管理会社などのビジネスパートナーも駆けつけ、損傷した施設や設備の仮復旧に尽力。破断した下水管をつなぐフレキ管を2日で修繕するなど、ビジネスパートナーとの連携により驚異の速さで仮復旧させ、医療の継続を支える。免震構造の建物、井戸水による水の確保、BCPによる事前準備、これら3つが医療の継続に効果を発揮する。
情報の一元管理と指揮命令系統を一本化
地震発生後、直ちにiPhoneやTeamsでつながり、ヒト・モノ・カネ・情報を一元管理するとともに、指揮命令系統を一本化。業務量が爆発的に増える中、住居の確保、臨時の学童保育の開始、入浴支援など、職員が安心して働ける環境も整える。
刻々と変化する状況に合わせた手厚いサービス提供
地震後には、医療避難所へのバスルートの新設、退院後の高齢者の生活を考えた2つの福祉施設の開設、災害時メニューの開発など、被災者が求めるサービスの提供体制を臨機応変に構築し、医療・介護・給食チームに分かれ手厚いサービス提供を行う。
災害対応記録(クロノロジー)を充実
地震直後より地震対策本部を病院内(免震棟3階のエレベータホール前)のオープンスペースに設置。職員がいつでも見えるようにし、職員が安心感を持てるよう配慮する。様々な情報を本部周辺の壁やホワイトボードに記載し情報を共有。病院だけに限らず、法人全体での情報も共有。本部には、深夜以外、誰かが常駐し、膨大な情報の収集・発信・指示を行う。会議の膨大な議事録は、毎日毎回作成し、リアルタイムにTeams上にアップロードし職員全員と共有。会議には、毎回20名以上の管理職、外部からの応援医師などが自然と集まる。設備管理会社の担当者も毎回参加し、ライフラインの状況などの情報を共有する。地震発生後の対応状況は、病院が発行する「恵寿総合病院医学雑誌」でも報告。災害対応記録(クロノロジー)を充実させ、さらなる対応強化に活用する。
BCMでは想定外を想定する学習を積み重ねる
BCMには、被災レベルに合わせたライフラインの確保などの具体的な対応を明記。パンデミックに備え追加された「換気設備編」には、施設図面に給気・排気位置を示し、医療従事者の立ち位置も記載。設備管理会社とは、毎週の「施設設備会議」で協議を重ねる等、ビジネスパートナーを巻き込んだ想定外を想定する学習の積み重ねを進めてきている。
能登半島地震時による被災状況。エレベータが止まる中、被災のあった耐震構造の病棟から113名の患者を人力で免震構造の本館に移送する(左下写真)
クラウドファンディングでの応援メッセージ数は約2,500。利用者や職員からの感謝メッセージも約2,500に及ぶ。寄せられた応援メッセージを「復興の桜」と名付けて病院内に掲示する
地下の免震層にある記録板「ケガキ板」には、40cmほどの地震で動いた跡(引っ掻き)が記録されていた。病院内の通路にはその記録が掲示されている組織データ
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組織名
社会医療法人財団 董仙会
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創立年月日
1934年(開設)
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業種
健康・医療・福祉
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本社所在地
石川県 七尾市
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従業員数
1,200名
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